デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

広い部屋の中は宮の内装と同じように、淡い色の絨毯が敷かれ、濃い茶色の机と座り心地の良さそうな座椅子のようなものが2つ、中庭の方に面して並んでいた。

中庭を眺めていたのか、立ったまま王は桜の方を振り向いた。
にこっと微笑んで、静かに白木の格子づくりの障子を閉める。そして、こちらへ手招きした。

「桜、よく来てくれた。そこへ座るがいい。……茶と菓子を」

命じられた女官が一礼して、帳の向こうへ姿を消した。

王の姿は政務の時とは違って、長い髪は後ろでゆるく一つに結わってあり、豪華な上衣は脱ぎ、上質そうな白のシャツとパンツ、アクセサリーも控えめな首飾りだけといういでたちだった。

この部屋のようにシンプルだが、それが却って輝くような美貌を引き立てている。

桜の意外そうな目に気づいたのか、少しおどけたような表情で、

「王も仕事が終わってまで、あんな堅苦しいものは着たくはない。本当はこの髪とて切りたいのだがな」

さあ、と桜に座椅子の一つをすすめた。

ぺこ、と一礼しておずおず座ると、王もその横の座椅子についた。

(うう…近い…眩しい……緊張する……ていうか普通、一対一で話をする時って向かいに座らない…?)

ふわ、と髪からのいい香りが桜の鼻をくすぐって、余計どぎまぎする。

(女の子の匂いで緊張する男の子の気持ちって、こんなんなんだろーか)

何で男でもないのに自分がその立場になるんだか。