なぜ我が君は、よりによって自分を桜との連絡係にしたのだろう。
臣下として文句は言えない立場ながら、暗い気持ちになる。
早く、あの娘が王宮を出されて、王の側にずっといる毎日に戻ってほしい。
背中に這うような悪寒をこらえながら願った。
◆◆◆
桜が王から呼ばれたのは、昼食から少し経った頃だった。
今度は客用の宮を出てから、カナンは公宮の方向とは逆に歩いていく。
思わず疑問が口から飛び出した。
「……方向逆じゃないんですか?」
すると、カナンは足を止め、顔だけをわずかに振り向くようにして答える。
「公宮ではなく、【深宮】にてお話を聞きたいとの仰せでございます」
(……ついに目も見なくなった、この人…)
ここまでくると、もう呆れるしかない。
さっき宮を走った事への無言の抗議だろうか。
でも、昨日あれだけ言われたことを考えると、それも何かおかしな気がする。
さっぱり分からない。
深宮への渡り廊下は、広い池の上に建てられていた。時折、鯉のような魚が廊下の下を泳いでいく。
何とも気まずい空気のまま、長い渡り廊下は【深宮】の表門で終わっていた。
どうやら広大な庭園の中を、公宮―客用の宮―深宮とつなぐ廊下らしい。
もっとも、客用の宮は公宮と深宮を一直線につなぐ渡り廊下の脇に設置されている感じなのだが。
臣下として文句は言えない立場ながら、暗い気持ちになる。
早く、あの娘が王宮を出されて、王の側にずっといる毎日に戻ってほしい。
背中に這うような悪寒をこらえながら願った。
◆◆◆
桜が王から呼ばれたのは、昼食から少し経った頃だった。
今度は客用の宮を出てから、カナンは公宮の方向とは逆に歩いていく。
思わず疑問が口から飛び出した。
「……方向逆じゃないんですか?」
すると、カナンは足を止め、顔だけをわずかに振り向くようにして答える。
「公宮ではなく、【深宮】にてお話を聞きたいとの仰せでございます」
(……ついに目も見なくなった、この人…)
ここまでくると、もう呆れるしかない。
さっき宮を走った事への無言の抗議だろうか。
でも、昨日あれだけ言われたことを考えると、それも何かおかしな気がする。
さっぱり分からない。
深宮への渡り廊下は、広い池の上に建てられていた。時折、鯉のような魚が廊下の下を泳いでいく。
何とも気まずい空気のまま、長い渡り廊下は【深宮】の表門で終わっていた。
どうやら広大な庭園の中を、公宮―客用の宮―深宮とつなぐ廊下らしい。
もっとも、客用の宮は公宮と深宮を一直線につなぐ渡り廊下の脇に設置されている感じなのだが。
