デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

シディが持たせてくれた、着替えのレモンイエローのワンピースを着た頃、戸を叩く音がした。

「朝餉をお持ちいたしました。入ってもよろしゅうございますか」

女性の声だ。

「あっ…はい」

すす、と扉が開いて、制服だろうか、同じこざっぱりとした白いワンピースの女が二人、それぞれ膳を持って入ってきた。

先頭は中年のようだったが、二人目は若い娘だった。

若い娘の方がちらりと桜を見、少し顔を強ばらせてすぐ目をそらす。

もういい加減、この容姿でその程度の反応なら慣れてきた。

(むしろ、昨日の金髪さんみたいな無表情の方が不気味だよ)

女官二人が退出した後、ふるわない食欲でモソモソと朝食をとっていると、また戸が叩かれた。

「お食事中、大変失礼いたします。よろしいでしょうか」

聞き覚えのある、平坦な声だ。

「……どうぞ」

噂をしたわけでもないのに、開いた戸から金髪と緑の瞳をしたカナンが姿を見せた。相変わらず、白紙のような無表情だ。

もともとあまりなかった食欲が、完全になくなって箸を置く。

「王からのご伝言です。食事が終わられたら、【公宮】へ来るようにと」

【公宮】は仕事をする宮だと聞いた。もう仕事を始めてるのだろうか。