デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「あ〜、アタマ痛え…」

次の日の朝、王宮内の宿舎でアスナイが顔を洗っていると、青い顔をしたシュリが部屋から出てきた。

「おうアスナイ、後で二日酔いの薬作ってくれ」

「街で買え、そんなもん」

面倒そうに言い、顔の水滴を拭う。

「ハァ〜…今から数時間かけて帰ってすぐ仕事か…辛えよ」

ごしごしと手のひらで顔をこすって、自分も顔を洗おうと水を汲んだ。

「昨日、調子に乗って飲みすぎるからだろ。付き合う方の身にもなれ。お前のうっとーしい絡み酒に、どんだけ」

「あーあーもう二日酔いのときまでお前の説教なんか聞きたくねぇよ」

一口水を飲みながら、ひらひらと手を振る。

「朝餉が済んだら王に挨拶して帰るぞ」

言い残し、洗面所を後にしようとするアスナイ。

「……桜、会えないかな」

一目、会って帰りたい。これから月3度は会えると言っても、次の休みがいつか分からない。

「さあな。会わないほうがいいかも知れんぞ」

会ったら、離れがたくなる。赴任地で早く功をあげる事が、どうやら桜を得る近道のようだと悟ったから、今はそれに集中したい。

それぞれの心情を抱えて、朝の準備をすすめた。