デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「夜着と、お体を拭く布は寝台にございます。ご入用ならば、介添を呼びますが」

(は!?)

「いえ、いいです!じ、自分でしますから…」

あわててぱたぱたと手を振る。

「そうですか。ではすぐに夕餉をお持ちします。ごゆっくりおくつろぎ下さい」

「あっ、はい……」

くるりと桜に背を向けて、スタスタと戸へ向かうカナン。

ふと、桜は思い出した。

「あ、あの」

カナンの背中に声をかける。すると、またくるりと無表情にこちらを向いた。

「はい」

「えと、さっきはありがとうございました。礼の仕方を、教えていただいて」

そっと頭を下げた。

「いえ。謁見する者が礼もできなければ、我が君の威に傷がつきますから」

「……」

(なんか、とんでもなく嫌われてる…?)

容姿のせいで理由もなく悪意を向けられるのはよくあったが、それだろうか。