デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

そんな二人の、特にシュリの様子を、木枯らしをまといながら虚しく見つめるシディ。

(……子豚に、やられたわ……)

スーっと涙が伝う。

「サヨナラ、アタシのスイートポテトパイ………アタシは、仕事と結ばれる女……」

ツッコミどころ満載のセリフは、誰にも聞かれることなく、空気に消えた。


「わざわざ外までのお見送り、痛み入ります。統括長」

満天の星が輝く空の下、入り口まで一緒に出てきたシディ統括長に、アスナイが頭を下げた。

「フフ……いいのよ……見送らせてちょうだい、アタシの愛の葬列を……」

いつもと違う様子に首をかしげながらも、一礼して三人は
馬車へ向かった。

「ちょっと、子豚娘」

シディが桜を呼び止めた。

「?はい」

向き直って、2,3歩近づく。

「汗をかくことと、ふんだんな野菜と、水分補給」

「?」

「そのニキビと、顔と手足のむくみを取る方法よ。アナタくらいの若さなら、10日もすれば少なくとも肌荒れは改善されるはずよ」

「あっ……はい!」

「アナタ、肌はもともと白くてキレイなハズなのよ。だって、デコルテの美しさはなかなかだもの」

(褒められた……)

「その脂肪にまみれた体はじっくり付き合うしかないけどねッ!」

「うう…」

「じゃ、せいぜい頑張ることね」

くるりと踵を返し、去ってゆく統括長に、お礼を言って二人のもとへ戻る桜。

ガラガラと馬車が走り出した音に、シディはそっと振り向いた。

(……黒髪黒い瞳に合わせた服は、作ったことないわね)

ふふ、と微笑みを浮かべ、キャットウォークで仕事場へと戻っていった。