デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

何も言わない二人に不安になりシディを見るが、失恋の木枯らしが彼を包んでいる。

「あ、あの…やっぱり、変です、よね………」


――“いいですいいです!お化粧までしなくても!”
――“お黙りっ!アナタねぇ!男だけじゃなくて、仕事までアタシから奪う気っ!?ジッとしなさいッッ!!”

泣きながら、凄い形相で化粧筆を動かすシディに気圧されて、初めてメイクをしてみたが。

(やっぱり、元が悪いとだめだよね……)

いたたまれなくなって目を伏せ、髪をいじる。

「………わいい」

「へ?」

何か聞こえた気がして、顔を上げると、シュリが顔を真っ赤にし、口をパクパクさせながら、声を出した。

「すっ…げえ、かわいい……」

「!」

たちまち、耳まで赤くなる桜。

今まで一度も言われたことのない言葉に、どうしていいか分からない。

シュリの横で、アスナイも負けないほど頬を染めている。
口を手のひらで覆っているが、その赤さは丸見えだ。

「こんな……こんなにまで」

こんなにまで、しなくて良かったのに。

こんなにかわいくされた好きな娘を、他の男に見せたくない。出来るなら、今すぐ自分の赴任地へ連れて行ってしまいたい。