デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

一方、桜の仕上がりを待つシュリとアスナイ。

「でもよ、別にこんな夜になってからじゃなくても、明日で良さそうなのにな、謁見」

「我が君のお考えになる事だ。到着したら、すぐ見てみたいとお思いになったんじゃないのか」

むう、とシュリが口を尖らせた。

「…桜と、夜の街で遊べるかと思ったのにな…」

「謁見が早く終われば、お許しが出るかもしれんがな」

「おっ!そうか!どこに連れてってやろうかな。うまい店と、遊技場もいいな。……あ、お前はついてくんなよ」

チロリと横目で牽制するシュリに、アスナイはフッと笑って見せる。

「心配せんでも俺は行かないさ。謁見のあとで、桜を得るための請願をしなくてはならないからな」

「…………」

むうう、と余計にシュリがむくれたところで、シディと桜が戻ってきた。

心なしか、シディの生気がない。

「お待たせ。これなら大丈夫のはずよ」

すい、と桜の前から体をはずす。

黒髪をハーフアップにし、清楚な淡いピンクのワンピース姿の桜が、少し恥ずかしそうにたたずんでいた。

「…………」
「…………」

二人とも、目と口を開いたまま、動けない。

桜の伸び放題だった眉は整えられ、きちんとベースメイクをされた顔には、控え目にチークとリップが引かれている。

『もうアタシは仕事に生きるしかないわぁああ!!男なんてっ!男なんてっ!』

とむせび泣きながら、グリグリと桜に無理矢理ほどこしたのだった。