デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

シディは黙ってかごの中身に目を落とした。

全ての部署の統括長は、その立場は対等とされている。

けれど、実情は必ずしもそうではない。

軍部関係や、王の執政を補佐する部署は花形とされ、熾烈な競争と、権威争いと、ふんだんな予算がある所だった。
当然、そこの統括長は肩で風を切って歩く。

対して、ここ三ノ所は、王宮の日常の雑務に関わる部署が多く、働く人間も女性や年老いた者も多い。
なので、一ノ所、二ノ所には、

―――“三ノ所は、姥捨て山よ”

などと言ってはばからない者も少なくなかった。

華々しい軍功や、数字で分かる業績があるわけではない。

そのことが、三ノ所が軽視され、その仕事ぶりが認められづらい理由だった。

「……フン………ほらっ、何してんのよ、これ!」

桜に今の自分の顔を見られたくなくて、後ろ手でカゴを突き出した。

「?何ですか、これ?」

桜が受け取って覗き込むと、ワンピースがもう一着と、下着が二組入っていた。

その隙にゴシゴシと頬をこすり、仕事の顔に戻すシディ。