デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「ほら、これ着てみなさい」

桜にそれを手渡す。

柔らかい、シフォンのような繊細な薄布を重ねて作った、薄いピンクのワンピースだった。襟元には、ビーズで上品な刺繍が施してある。

「きれい……」

そっと、ため息が出た。

「あぁったり前でしょっ。この部屋にあるのは全て、このアタシが裁断から縫製まで、全部やった服なのよ!感謝なさいッ」

フン、と腕を組み、鏡の前へと顎でうながした。

「こ、この前で!?……あの、試着室なんてのは……」

いくらシディがソッチの趣味でも、抵抗がある。

「子豚がいっちょ前に恥じらってんじゃないわよッ!だーから面倒くさいのよね、女は!こちとら仕事よ、仕事!!アンタに変な気なんか死んだって起こさないから、とっととお脱ぎっ!!!」

クワッと言うが早いか、マントの留金をブチブチと外し、バサァ!とひん剥いた。

「ひゃあぁ!!」

青くなって、慌ててワンピースに袖を通そうとする桜。

「あ、ちょっと待ちなさい」
このタイミングで、思いついたようにまた服の列に消える。

(い……嫌がらせじゃないよね……)

鏡の前で涙目でうずくまりながら、シディが戻って来るのを待った。

しばらくして、布を持って戻ってきた。

「下着も無いんだったわね。これ、つけなさい。多分サイズは合うはずよ」

それぞれ胸と下をホールドするもので、恐ろしいことにピタリと桜の体に合った。

(す……スゴイ……)

確かにアスナイの言うとおり、仕事は一流だ。