デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

フリフリと過剰なキャットウォークの後をこわごわついて行く。

今の問答を聞いていたスタッフから、桜の容姿も相まって、恐ろしいものを見るような、英雄を見るような目線を向けられながら。

「この部屋よ。入んなさい」

部屋の奥にあった引き戸を開ける。

「わあ……」

さっきのアトリエほどではないが、ここもまた広い。
大きな姿見があり、鏡台まである。

その部屋中に所せましと、女性用の服がぎっしりとかけられていた。
壁に作られた、天井まで届く棚にはショールや帽子、コサージュのような小物類から、ありとあらゆるジュエリーまである。

「これ…全部シディさんが作られたんですか」

思わず聞くと、シディがキッと振り向いた。

「シディ『さん』!?」

まずい。

「あ……え、えと…シディとうかつちょう……?」

「……アナタ、絶対意味わかってないでしょ。…もういいわッ。子豚に怒ったって仕方ないものっ。好きに呼びなさいよ」

プリプリと服の列の中に突進していく。

ポツンと、一人佇む桜。

大量の服の列から、えーっと……とうなる声が聞こえてきた。 

きょろきょろと部屋の中を眺めていると、しばらくしてシディが一枚の衣装を持って帰ってきた。