デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

また、大きな建物の階段の前に三人は立った。

それをゆっくり登りながら、アスナイは桜に簡単に説明した。

「王宮には、様々な全国の部署の本部が置かれている。軍部から料理を作る【膳所】まで、細かく分ければ20以上になるか。それは一ノ所、二ノ所、三ノ所と、3つの宮に分かれている。―ちなみに、この【衣の司】が入っている建物は、三ノ所だ」

こんな大きな建物が、あと2つ。目を見張って、桜はその瑠璃色の屋根を見上げた。

「そして、それより奥にあるのが、王の二つの宮だ。一つが政務を行う公宮、もう一つが、王ご自身の生活の場である、深宮」

「え、まだあるんですか」

驚く桜に、シュリが横から言った。

「ざっと言えばこんなもんで、あとは近衛の詰め所だとか、厩舎、さっきの神処とか、他にも色々あるんだよ」

霞が関と、皇居と、首相官邸がごっちゃになったようなものなのかもしれない。
それが一カ所に集まっているのだから、この王宮の広さは相当なものだろう。

(そりゃ、移動に馬車もいるよね……)

桜が納得している間に、三ノ所の入り口に着いた。

門番に目礼し、三人は中に入る。

さっきの白い建物と違い、白木と朱塗りの木の装飾がなされてあって、目にも楽しい内装だった。
二人のあとについて、長くて曲がりくねった廊下を進んでゆく。
それぞれの部署には十分な部屋が設けられているらしく、
障子のような戸から光がもれているところもあれば、早々に仕事が終わったのか、暗くしんとした戸の前も通った。

そして階段を上りまた少し行くと、煌々と明かりが灯る部屋の前で、二人の足が止まった。

「………」

ごくん、とシュリがのどを鳴らし、スッと桜の後ろへ回った。