デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

(わ……)

思わず、小さく息を呑む。

真っ白な髪に、座った膝まで届くかと言うくらいの、長い白ひげ。
深い紫のローブをまとった老人は、穏やかな、それでいて知性あふれる光を、薄いグレーの瞳に映していた。

『さがりなさい』

静かに女性に告げると、スッと一礼し、足音もなく部屋の横の入り口へと姿を消した。

『さて……』

ゆっくりと、桜へ向き直った。
じっと静かに見据えられ、緊張する。

“そう固くならなくてもよい。フードを取りなさい”

「!?」

頭に響く言葉に、びっくりして目を見開いた。

“お主の意識に、直接語りかけておるゆえ、おかしな感じがするかもしれんが、目の前の老人じゃ”

「………」

まさか、こんなことが。手品?魔法?これは一体。

しょっぱなから自分の理解を超える現象に、桜は腰を抜かしそうだった。