デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

流れる建物や庭を興味しんしんで眺めているうちに、馬車が止まった。

『着きました。ご用が終わられますまで、こちらでお待ちします』

馬車が止まったその場所は、大きい真っ白な建物の前だった。

他の建物は屋根が瑠璃色で壁が白だったが、この建物は全てが白い。

『桜と、話が出来るようになるかな』

シュリが嬉しそうに、建物に見入る彼女を見て笑った。

『出来るようにしてもらわねば困る。…神官殿はこの宮で唯一、【神力】が使える方だ。まあ問題あるまい』

口では平静を装うアスナイも、心待ちにしていた時だ。

桜を手招きして、入り口に通じる大きな階段を登って行く。

(ここに、入るの?)

不安そうな表情に気づいて、二、三段先を行っていたアスナイはそっと桜の手を取った。

『大丈夫だ、桜。怖がることはない』

シュリもアスナイの横に並び、もう一方の手を取る。

『そうだ、痛いことなんかされねーよ。行こう』

二人の力強い手と微笑みに、少し顔を赤くして頷いた。