昼食を終えた後からは、明らかに道の様子が違ってきた。

森もだんだんと樹木が低くなり、何よりも小さな店や、商人のような者までもちらほらでてきたのだ。

桜はフードを目深にかぶったので、道行く人が騒ぐこともなかったが、よく見ると自分たちとすれ違うものは皆、騎馬であれ徒歩であれ、道を譲っては目礼するのだ。

自分にしてるわけはない。この二人にしているのは明らかだ。

(……ほんとに、何者なんだろう、二人とも)

改めて、桜は頭をひねった。

ただ何となく思ったのは、アスナイもシュリも、道を譲られても当然のようにしていることから、自分のいた世界と違って、ここは明らかに【身分】というものがあるらしい、ということだった。

(…不安だなあ)

似ているのは自然と生き物だけで、社会の仕組みは全く違うのかもしれない。

これから、どうなるんだろう。

元の世界に帰れる方法はあるんだろうか。

フードの陰で、ぐるぐると考えていた。