青い顔をして黙り込んだシュリを、桜は気遣わしげに見つめた。
「シュリさん……大丈夫ですか」
名前を呼ばれたシュリは、桜の顔を見た。
“優しさっていうのは、恐ろしさや厳しさよりも、ずっとずっと難しいものなのよ”
遠い日の、母の言葉がよみがえる。
俺が今まで他人に振りまいてきたのは、果たして本当に優しさだったんだろうか。
優しいと、そう思ってくれる人間もいただろう。
だが…
失望し、シュリから去っていった顔を思い出す。なぜか、感謝を言われた人間より、そちらの顔のほうが鮮明に覚えている。
付き合いの深かった友人ばかりだからだと、今更ながらに気づいた。
桜も、必ずシュリに感謝するだろうとアスナイは言った。
それで終わりだと。
桜は自分の中で記憶になり、やがて埋もれていく。
そしてきっと自分も、“優しくしてくれた人”として、桜の記憶の一部になってゆく。
この旅は小さな思い出になり、彼女の側にはアスナイか、それとも他の男がいて、思い出したときにちっぽけな話題にのぼる。
それが、彼女にとっての自分になる。
それでいいのだろう?とアスナイは言うのだ。桜に【優しく】できて、お前はそれで満足なんだろう、と。
「シュリさん……大丈夫ですか」
名前を呼ばれたシュリは、桜の顔を見た。
“優しさっていうのは、恐ろしさや厳しさよりも、ずっとずっと難しいものなのよ”
遠い日の、母の言葉がよみがえる。
俺が今まで他人に振りまいてきたのは、果たして本当に優しさだったんだろうか。
優しいと、そう思ってくれる人間もいただろう。
だが…
失望し、シュリから去っていった顔を思い出す。なぜか、感謝を言われた人間より、そちらの顔のほうが鮮明に覚えている。
付き合いの深かった友人ばかりだからだと、今更ながらに気づいた。
桜も、必ずシュリに感謝するだろうとアスナイは言った。
それで終わりだと。
桜は自分の中で記憶になり、やがて埋もれていく。
そしてきっと自分も、“優しくしてくれた人”として、桜の記憶の一部になってゆく。
この旅は小さな思い出になり、彼女の側にはアスナイか、それとも他の男がいて、思い出したときにちっぽけな話題にのぼる。
それが、彼女にとっての自分になる。
それでいいのだろう?とアスナイは言うのだ。桜に【優しく】できて、お前はそれで満足なんだろう、と。
