デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

『俺が桜にもう会えなくなるかどうかは、まだ分からんと言うことだ』

『……は?言ってる意味が』

『我が君に謁見する時に、請願するつもりだ。王宮付に配属換えして頂くようにと』

キッパリと言い切り、アスナイは一口茶を飲んだ。

『何、言ってんだお前………無理に決まってんだろ』

シュリが唖然として呟いた。

『もちろん、新米が王宮付の武官になるのは異例だから、かなり難しいとは思うがな。そのためにできる事は、するつもりだ』

それはそうだ。王都武官は通常、少なくとも数年は周辺地域に赴任し、防衛や『魔』の掃討の経験を積んでから王都に帰る。その中でも生え抜きが王宮付、さらにその一握りが近衛として王に仕えるのだ。

『……何でだよ。何でお前、そこまで』

『桜とこれっきりというのは御免だからだ。俺はあきらめたくはない』

『!』

『もしどうしても王宮付が無理なら…少々遅くなってもいい、桜を俺の赴任地に連れて行けるように請願する』

アスナイの静かだが揺るぎない声音が、シュリの胸に突き刺さった。
自分でも意味がわからない程動揺している。

『……こいつは、異世界人で、王の客だぞ。不可能だ』

『さあ、それはどうかな。この娘が普通の人の子であることがわかれば、我が君のことだ、そう執着もされまいと思っている』