デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

シュリが帰ってきたのは、それから間もなくだった。

『鹿、獲ってきたぞ!』

若い牝鹿を、ドサリと火の前に置く。

『………お前、イノシシから何も学んでないのか』

うんざりした顔で、アスナイは獲物を見下ろした。

『まあまあ、いいじゃねーか』

にこにこしながら、手早く血抜きに取りかかる。

『…もうすぐ終わっちまうんだからよ、いいもん食おうぜ』

こちらに背を向けて作業をするシュリの表情は読み取れない。

『………』

アスナイはそっと桜を見た。すると、桜もアスナイを見ていたのか、目線がぶつかる。

目を見開いて、ボッと頬を赤くしてうつむいた。

――平常運転だな。

クスッと笑って、また黙々と下ごしらえをするシュリの背中に目を移す。

…タイムリミットは迫っているぞ、シュリ。

お前このままでいるのか?俺はもう、腹をくくったぞ。

一度目を伏せて、水を汲みに小川へ向かった。