デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ふっと手の力をゆるめ、うつむく桜をのぞき込んだ。

(だめだなあ、私……)

せっかく打ち解けられたと思ったのに、また怒らせてしまった。おまけに、危ない目にもあわせて。
要領が悪いくせに調子に乗って、余計なことをしなければ良かった。

目に涙がいっぱいに溜まってゆく。

『……っお前は、そんなことはしなくていいんだ…!』

桜の目から、雫がこぼれようとしたその瞬間、彼女の体はアスナイの腕の中だった。

いじらしさにかきたてられた、胸の切なさのままに、ぎゅっと抱きすくめる。

「!?」

びっくりして、固まる桜。
これは、この状況は一体。

彼女の髪にそっと頬を寄せ、アスナイは目を閉じた。

『桜……………良かった、無事で……』

その確かな温もりを感じて、彼は初めて安堵の息をついた。
そして同時に、認めざるを得なかった。

桜に日々強まっていく感情。甘い痺れを伴う、この切なさ。

同情でも、憐れみでも、苛立ちでもない。

これが“愛しい”ということだった。