デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

下がれ!と妹に怒鳴り、アスナイは護身用の短刀を抜く。

が、急襲してきた敵に、あっさりとたたき落とされてしまった。体勢を崩し、その場に倒れる。

くるり、と空中で宙返りした『魔』の爪が、アスナイを捕らえようとしたその瞬間。

両腕を広げた小柄な影が、彼の視界を塞いだ。

同じ紺色の瞳が、一瞬見つめ合った。

“エレン!!”

兄が妹の名を呼んだ、それが最初で最後だった。

その刹那、妹の唇にそっと微笑みが浮かんだ――気がした。

小さな背中をしっかりとつかんだ『魔』は、みるみるうちに上昇し、仲間の元に戻る。それで満足したのか、3人はあっという間に遥か彼方まで飛び去っていった。

呆然と座り込んだままのアスナイを残して。