デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ビクッ、と身をすくませ、桜は固まった。

いつもの冷たい光とは真逆に、紺色の瞳を燃やして桜の胸あたりを掴んで引き寄せた。

「あ…」

焦りと、怒り。
いつもの静かな彼の表情とはうってかわって、烈しい感情がむき出しだった。

アスナイの脳裏に、子供の頃の記憶がまざまざとよみがえる。

―“アスナイにいさま…”

いつも自分の後ろを、おどおどとついてきた異母妹。

気に食わない存在だった、半分だけ血の繋がった妹。

優しく聡明だった母が死んだあと、父はすぐ後妻を迎えた。もうその時には、3つ下の妹は小さな手を引かれ、自分と同じ父譲りの大きな紺色の目をこちらにむけていた。