デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

桜の目が、アスナイの肩越しに捉えたもの。

音もなく、ゆっくりと忍び寄るトラのような生き物だった。

血に飢えた目。

キトニの街の、あの記憶がよみがえる。

目を見開き、息を呑む桜。

アスナイがそれに気づき、後ろを振り向こうとするのと、獣が流れる水のように素早く距離を詰めるのが同時だった。


「危ない!!」


とっさに、桜はアスナイを横に突き飛ばした。


飛びかかってきた獣は桜の肩口を前足でとらえ、地面に押し倒した。

「痛っ!!」

後頭部をしたたかに打ち、クラっとする。

そのままマントの袖のあたりをくわえると、獲物を森の奥へと引きずっていく。