デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

一方、洗ったナイフの水を切りながら戻ってきたアスナイ。

目線をナイフから野宿の場所に移すと、桜の姿がない。

思わず足を止め、息を呑んだ。

『桜?』

さっと周りを見回すが、荷物と馬が2頭、マットが3つ、焚き火が揺れているだけで、彼女はいない。

『……さく、ら……?』

自分でも驚くほど動揺している。

逃げた?いやまさか。こんな山の中で。
さらわれた?ばかな、そんな気配は微塵もなかった。

動悸がはやくなってゆく。