デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

『……王は、桜をどうするんだろうな』

ぽつりとシュリが聞いた。

『分からん。この国に桜がいる以上、その生殺与奪は我が君だ。臣下の出る幕ではない』

『お前、そんな薄情な言い方――』

『だが、事実だ』

冷徹な口調は、シュリよりもむしろ自分自身に向けているかのように、薄く目を閉じた。

『―我が君は、聡明な方だ。無闇にこの娘を苦しめるような真似はなさらないはず』

『聡明っつーか、なんか掴みどころがない感じがするよな。カルそうかと思ったら、冷たい顔もする』

『お前……いつか本当に殺されるぞ』

呆れて横目で相棒を見やる。

『……もう、会えなくなるのか』

小さな声で、シュリは呟く。たったそれだけで、胃のあたりが締めつけられるように痛んだ。

アスナイは、聞こえないフリをした。