一昨日に大雨が降ったせいか、大幅に増水した川は濁った流れになっていた。
桜の住む住宅地を通って流れる川で、それほど大きな川ではない。土手の護岸工事もしておらず、枯れ草が揺れていた。子供たちの格好の遊び場で、桜も小さい頃はよく遊んだものだ。
しかし、いつもと違ってゴウゴウと音を立てて流れる水の塊は、少し狂気的にさえ見えた。
後ろから追いかけてきた声はいつのまにかなくなっていて、桜は恐る恐る後ろをふりむく。
「………はあ…」
飽きたか、あきらめたか。
とりあえず、ひどい目にはあわないですんだようだ。
「み~~~~~っけ」
「!!!」
心臓をわしづかみされたような衝撃とともに、桜は前に向き直る。
桜が出てきたところよりも前の区画の筋から一人。
そしてもう一度後ろをふりむくと、ニヤリと笑う男子が、もう一人。
極めつけは桜が出てきた道から一人。
3人の男子に囲まれた上に、左側は川…。
「桜ちゃ~ん、足はやくなったねえ」
「でもさあ~無視はひどくねぇ?久しぶりに会ったんだから~」
カタカタと手足が震えだす。
ああ。逃げられない。
また、始まる。暴力の狂宴が。
