デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

『…着いた。あそこだ』

やおら馬を止め、アスナイは右の方向を指差した。
こぢんまりとした町の門が、遠くに小さく見える。

『全員で行くか?』

シュリの問いかけに、首を振る。

『いや…桜の髪を見られたら厄介だ。俺だけ行ってくる。お前はここにいて、野宿の準備をしておけ』

うっ、という顔をして、シュリが小声で言った。

『……お前、この状態の桜と二人っきりになれってか』
『甘いこと言うな。すぐ戻る』

そう言って、返事を待たずにギャロップで駆けだしていく。

『あいつ…』

後ろ姿を睨んでみてもどうにもならない。シュリはあきらめて馬を下りた。