デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

何とか笑いを収めて、髪についた花のことを手振りで教える。

アスナイの指が、すぐにそれをつまんだ。

『……こんなものが、面白かったのか?』

――わかっていない。

首をかしげて手のひらにのせて見る。それをそっとのぞきこんだ桜は、小さく息を呑んだ。

(桜の花だ……)

地球ではないのだから、正確には違うだろう。
けれど、それは彼女にとって馴染み深い、ソメイヨシノそっくりだった。

たったそれだけが嬉しくなって、アスナイの手からそっとその花をつまみ上げる。

いつもとは違う表情の彼女に、アスナイは目を丸くした。

その小さな薄紅色の花を、黒い瞳の横に持ちあげて見せ、嬉しそうに彼に微笑む。

「サクラ!」

柔らかい風が吹いた。