デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

森の中を、二頭の馬が進んでいく。
旅人用の道が整備されてあるため、軽快な足取りだった。

アスナイの赤紫の馬に揺られながら、桜はチラリと並走するシュリを見た。

さっきまでのムスッとした表情はなかったが、いつものようにアスナイや桜にちょっかいを出すでもなく、淡々と馬を走らせる。

ふいに、目が合った。

(あ……)

桜が何か言う前に、一瞬だけ唇だけを微笑の形にして、目をそらしてしまう。

(どうしよう、私……ほんとに悪いことしてしまった)

しゅんとして、また前を見てうなだれる。

シュリはシュリで、二つの思いががせめぎ合っている。

いい加減にしろ、もうこのモヤモヤの説明はつけたはずだろという気持ち。
一方で、もっと困ってしまえばいいという気持ち。

『シュリ』

いきなり、アスナイが声をかけた。

『ん?』

少し面食らって返事をすると。

『この娘が言葉を話せないのをいいことに、子供のような嫉妬はよせ』

冷たい声で言い放った。