デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

こく、と喉を鳴らして、桜は言う。

「……本当に、無いんでしょうか」

「うん?」

「あなたと私が、同じように生きていく方法です」

「………」

自分を静かに見つめる紫の瞳。
おずおずと、彼の下から身を起こして床に座った。

「この間、思ったんです。もし何とか出来るなら、私どんな事をしてもやり遂げてみせるって」

相変わらず黙ったままの王の顔に、桜は言い募った。

「ねえ、王様……。私、探してみたいの。こんな形じゃなく、ずっとあなたと一緒に………っ!?」

言い終わらないうちに、乱暴に両腕をつかまれた。

「きゃ…」

グイッ、と向かい合うように彼の膝の上にまたがらせられたと思うと、奪われる唇と同じくらい乱暴に、彼の熱が身体に入り込んできた。

悲鳴を封じられて身をよじるが、強い力に抱かれてやすやすと相手の良いようにされてしまう。

「おう、さ……ま………!!やっ……!どうして……?!わたし、今、は……逃げてない……!!」

切れ切れに、息の間から訴えるが。

「黙れ」

鋭く言い、いっそう深く身体を繋げた。

「んんー!!」

くぐもった泣き声を聞き、彼は一度唇を離した。

「共に生きていく方法がないかだと?」

冷たく鼻で笑う。

「私がただの人間になり、お前と夫婦になって、子をなし、育て、共に老いて、最後は神の元で永遠に安らぐ方法?」

「王さ……」

また、首をつかまれた。

「うっ……」

「そんなもの……そんなものあれば、お前にこんな仕打ちなどしない!!」

冷徹な仮面を脱ぎ捨てて叫ぶ。

「お前を泣かせて、悲しませて、狂気や殺意など向けるものか!」

腕に力を込め、すがるように抱く。

(でも、でも……)

その力に潰されそうになりながら、桜はかろうじて薄く考えていた。

(探したい。この人と自由になれる方法を)

顔を悲しそうに歪めるこの人を見たら、私よりもずっと、毎日傷ついているのだと思い知る。

(このままじゃ、本当に私も王様も狂ってしまう)

それは嫌だ。
この人と幸せになりたい。

大好きだから。