そんな事が、自分の後ろで起こっていたことに気づかないアラエは、大股で教えてもらった深宮の女官の部屋の前へやってきた。
(…誰かいるといいのだがな)
そう思いながら戸を叩く。
少し待っていると、静かに質素な造りの戸が開かれ、中から同じくらい地味な顔立ちの女が出てきた。
年の頃は中年というわけでもなさそうだが、アラエよりはいくつか上だろう。
アラエを見ると、その静かな表情が少し驚きになる。
「……近侍様ではいらっしゃいませんか。どうなされたのです、こんなところに」
選び抜かれた深宮付の女官は、そう多くはない。人がいた事にホッとして、彼は早速尋ねた。
「聞きたいことがあるんだ。我が君のご客人のことだ」
その言葉を聞くと、少し表情を固くして目をそらす。
「私共は、何も……」
「我が君とご客人は、ここ数日ずっと、深宮にいらっしゃるのだな?」
すると、おそらくは主君に桜の事を一切外で口にするなと命じられているのだろう、薄く目を閉じた。
「お答えできませぬ」
「そこを頼んでいるんだ。私はご客人の伝達役だ、ここ最近いらっしゃらないから、その無事なご様子を知りたいだけだ」
アラエが軽く腕を広げて頼んだが、職務に忠実な女官は、近侍に対しても頑なだった。
「何とおっしゃられようと、深宮内部の事は話すなと我が君がお命じです。違えるわけには参りませぬ」
「………」
ラチがあかない。
仕方ない、王宮内でこんなことはしたくはないが。
心で舌打ちした次の瞬間、目の前の女官の肩に腕を回し、引き寄せる。
素早くその襟を少し暴いて、その肌に口づけた。
「きゃっ……!?な、な、何を、なさ………!」
まず日常味わわないシチュエーションに、女官は目をむいてあわてて身を引こうとした。
(…誰かいるといいのだがな)
そう思いながら戸を叩く。
少し待っていると、静かに質素な造りの戸が開かれ、中から同じくらい地味な顔立ちの女が出てきた。
年の頃は中年というわけでもなさそうだが、アラエよりはいくつか上だろう。
アラエを見ると、その静かな表情が少し驚きになる。
「……近侍様ではいらっしゃいませんか。どうなされたのです、こんなところに」
選び抜かれた深宮付の女官は、そう多くはない。人がいた事にホッとして、彼は早速尋ねた。
「聞きたいことがあるんだ。我が君のご客人のことだ」
その言葉を聞くと、少し表情を固くして目をそらす。
「私共は、何も……」
「我が君とご客人は、ここ数日ずっと、深宮にいらっしゃるのだな?」
すると、おそらくは主君に桜の事を一切外で口にするなと命じられているのだろう、薄く目を閉じた。
「お答えできませぬ」
「そこを頼んでいるんだ。私はご客人の伝達役だ、ここ最近いらっしゃらないから、その無事なご様子を知りたいだけだ」
アラエが軽く腕を広げて頼んだが、職務に忠実な女官は、近侍に対しても頑なだった。
「何とおっしゃられようと、深宮内部の事は話すなと我が君がお命じです。違えるわけには参りませぬ」
「………」
ラチがあかない。
仕方ない、王宮内でこんなことはしたくはないが。
心で舌打ちした次の瞬間、目の前の女官の肩に腕を回し、引き寄せる。
素早くその襟を少し暴いて、その肌に口づけた。
「きゃっ……!?な、な、何を、なさ………!」
まず日常味わわないシチュエーションに、女官は目をむいてあわてて身を引こうとした。
