その日も、政務が終わった王はいつものように静かな無表情で臣下の前に立った。
さり気なくアラエは近くに寄るが、またもや声はかけられない。誰にも一瞥もくれることなく、
「皆大儀であった。各々残務に励むが良い」
と、判で押したような言葉を残してさっさと深宮の方へと歩き始める。
彼の姿が見えなくなった後、皆ぞろぞろとそれぞれの仕事を終わらせるべく散っていった。
「………………」
アラエは一人、その場にたたずむ。
その心には二つの思いがせめぎ合っていた。
―――何バカな事考えてる、あの娘をどうしようが我が君の自由だ。絶対に結ばれることなんかない、いや自分のこんな気持ちを知られることすら許されないような娘のために、お前何をしようとしている?この地位どころか、自分の命を危険に晒す気か?
―――それでいいのか、後悔しないか?一度くらい、自分の心のままに行動したいと、あの娘に出会ってからずっと思っていただろう?何より、あの娘に会いたいんだろう?人の心は神力でもどうにもならない。お前のその気持ちは、お前だけのものなんだぞ。
足から根が生えたように微動だにせず、わずかに眉を寄せていたが。
「…………」
ふう、と息をついた。
ゆっくりと、その足が動き始める。
自分の執務部屋とは逆方向に。
(全く………バカだ、私は)
少し目元を染めて、足を少し速めた。
(見つからないように、客用の宮へ行って確かめるだけだ)
そう自分に言い聞かせて、公宮の裏口へ向かった。
さり気なくアラエは近くに寄るが、またもや声はかけられない。誰にも一瞥もくれることなく、
「皆大儀であった。各々残務に励むが良い」
と、判で押したような言葉を残してさっさと深宮の方へと歩き始める。
彼の姿が見えなくなった後、皆ぞろぞろとそれぞれの仕事を終わらせるべく散っていった。
「………………」
アラエは一人、その場にたたずむ。
その心には二つの思いがせめぎ合っていた。
―――何バカな事考えてる、あの娘をどうしようが我が君の自由だ。絶対に結ばれることなんかない、いや自分のこんな気持ちを知られることすら許されないような娘のために、お前何をしようとしている?この地位どころか、自分の命を危険に晒す気か?
―――それでいいのか、後悔しないか?一度くらい、自分の心のままに行動したいと、あの娘に出会ってからずっと思っていただろう?何より、あの娘に会いたいんだろう?人の心は神力でもどうにもならない。お前のその気持ちは、お前だけのものなんだぞ。
足から根が生えたように微動だにせず、わずかに眉を寄せていたが。
「…………」
ふう、と息をついた。
ゆっくりと、その足が動き始める。
自分の執務部屋とは逆方向に。
(全く………バカだ、私は)
少し目元を染めて、足を少し速めた。
(見つからないように、客用の宮へ行って確かめるだけだ)
そう自分に言い聞かせて、公宮の裏口へ向かった。
