デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

アデレイドは小さく息をついた。

長い指を、その形の良い顎に当てて少し考える。

(さすがに少しキツい)

眉を寄せた。

あまりここから動くわけにもいかない。

だが自分の体が参っては元も子もない。

せっかくここまでこれたのだ、目的は何としても果たさねば。

(……仕方ない、なるべく目立たぬところで)

そう思い、そっと音もなく足を進め始めた。

油断なくその視線を左右に配りながら、ゆらっとまるで陽炎のように気配を消して。

少し茂みが開けたところについて、そこに座って身を隠した。

これ以上近づいたらまずい。
ここで待つしかあるまい。

体力の消耗を最小限にするため、木に背中をもたせかけてそっと目を閉じた。

木陰にも青白い、その顔。

長いそのまつげは、濡れたような漆黒をしていた。