デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

(……きっと、ほんとのほんとは、王様は変わってない。やっぱり優しい人なんだ)

こんなにきれいで何でも持ってるのに、桜の事になると自信がなくて、だから臆病で。

やっと自分を信じてくれたのに、逃げるような真似をして、この繊細な人をどれだけ傷つけただろう。

(……本当に、どうしようもないのかな)

桜は考えた。

どうにかして、この人と生きていく術はないんだろうか。

もしあるなら、どんな事をしてもやり遂げるのに。

悲しく目を伏せてそっとため息をつき、なでていた手を外した。

と、一瞬王の体がビクッと大きく震えて、カッと紫の目が開く。
鋭く息を吸って、青い顔で桜の上に覆いかぶさった。

「桜!」

「きゃっ……」

思わず悲鳴を上げたが、彼は焦点の定まらない瞳を揺らして、まるで目が見えないかのように、両手で桜の頬や髪、白い肌をせわしなくなぞった。

首輪と両手首に伸びる鎖を確かめたあと、やっと彼女の目を見る。

浅く少し早い息をついて、小刻みに震えながらしっかりと抱きしめた。

「う……」

なかなか震えが治まらず、王はきつく目を閉じる。