デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

涙で濡れた顔を上げると、無表情で言う。

『あの甘ったるい香水をよこせ。私が処分しておく』

『…………』

香水の瓶を渡すと、もぎ取ってテーブルの上に置いた。

細い手首をつかんで、さっさとベッドへ連れて行く。

乱暴に押し倒すと、ワンピースを引きはがし始めた。

その目は、もう彼女を見てはいない。遠い眼差しは、彼女の後ろの誰かを見つめていた。

『アラエ』

『喋るな。………冷める』

鋭く言い、二人の身は熱とシーツに沈んだ。




「………っ」

ぶるっ、と一度大きく華奢な肩が震え、灰色の怒れる目がゆっくりと上げられた。

「誰なの?……どこの女なの?」

私をこんな目にあわせているのは。

ぬけぬけと、必死につかんだ恋人の心を奪ったのは。

「許せない」

悪意が密やかに、空気を揺らした。