デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

昼間、カナンにあんな事を言っておいて、私もつくづく愚かだ。そう思うのだが。

何とか、深宮の中の様子を知ることが出来ないだろうか……。

黙りこくったアラエを、目の前の美しい彼女はじっと見つめていた。

「アラエ」

「………」

「アラエったら」

「……ん?ああ、何だ」

「今日はどうしたのよ?深宮の女官の事なんか聞いて……。まさか、気になる女が出来たんじゃないでしょうね」

その低くなる声に、アラエは眉を寄せた。

「は?」

「ねえアラエ、いつ結婚してくれるの?こうしてお部屋に入れてくれたってことは、真剣に考えてくれてるのよね?」

始まった……面倒な、と心で舌打ちした。

「深宮の女官なんか、仕事と結婚したような、とうのたった年増ばっかりよ。こんなに尽くしてるのに、私を捨てたら……許さないんだから」

「何言ってるんだお前。勝手に妄想でいもしない女を仕立て上げて嫉妬されても困る」

心底呆れたようにサラッと横を向いてみせた。

だが、彼女は食い下がる。

「アラエ、やっぱり変だわ。お役目が変わってから。そう……我が君の、ご客人を案内するお役目になってから」

「…………」

無言で冷たく睨む赤銅色の瞳に怯みながらも、その美しい顔を歪めた。