デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「もう、こんなにして……すっかり牝犬だな、桜」

クックッと喉の奥で笑って、後ろから彼女の真っ赤になった耳を喰んだ。

「ひ……ひど………」

あまりな言葉に、涙が浮かぶ。

「お前が、性懲りもなく、抵抗するからだ………!」

低く鋭い言葉とともに、彼がその身を埋める。

広い浴場に、桜の声が細く響いた。

「あきらめてしまえば……受け入れれば、私とて優しく抱いてやるものを!」

はあっ、と獣のような息をつき、白いその身を蹂躙しながら、一度その肩を噛む。

歪む目元に涙をためて、歯を食いしばる桜。

不意にパシン、とお尻を打たれ、小さく悲鳴を上げた。

「啼け。犬なら犬らしくな」

泣き出す彼女の、震える背中を悦楽に歪む顔で見つめる。

………鎖で縛めてからずっと、泣かせてばかりいる。

怯えさせて、悲しませて。

あの清廉な微笑みが、何より好きだったのに。

涙と一緒に、彼女の自分への愛情も失われていっている気がして。
覚悟をしているとは言え、たまらずに夢中で背中から抱きしめた。

私とて、本当はお前にこんな仕打ちをしたいわけではない。

お前に分かるか。

これほど好きなお前に、背を向けられた私の恐怖が。

『老いる』という当たり前のことができない気持ちが。

……お前に置いていかれる悲しみが。

それでもいいと思った。その悲しみ以上に、お前を愛しているから。

それなのに、お前は。こんなに私をお前に狂わせておいて、今更。

赦さない、桜。お前を私から、赦さない。