デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「桜……」

仕事を終え微笑みを浮かべた王が、私室の戸を開けて入ってきた。

「王様…」

涙目で震える桜を見る。

「いい子にしていたか?私の可愛い寵姫」

ちゅっ、とその唇を一瞬吸う。

困りきった真っ赤な顔で、目を潤ませて王を見上げた。

「王様……はやく…あの………」

「ああ、そうだったな。すまない」

また微笑んで、首輪はそのままに鎖だけを外し、左手の鎖も同様に外した。
ガッチリと繋がれた寝台の脚から、右手の鎖の端を解いてその手に持つ。
クルクルとそれを自分の左手に巻きつけて、そっと彼女を寝台からおろした。

(早く……トイレ…行きたい……)

恥ずかしさに唇を噛んでうつむく。

一日のうちで桜が寝台から出られるのは、こうやって王に繋がれている時だけだ。

仕事から帰ってきたら彼に連れられて、用を足した後で湯殿へ一緒に行く。その間に女官たちが部屋の掃除やベッドメイキングを済ませるようだった。

あの日からずっとこうやって、異常な拘束は続いていた。

(いや……こんな……トイレまで繋がれるなんて)

何でここまで尊厳を侵されなければならないのかと何度も訴えたが、無駄だった。