ツンと横を向き黙りこくった後輩を、アラエは片眉を上げて見ていたが。
「……ま、そうだな。今となってはお前には関係のない話だな」
素っ気なく言った。
「あの娘に今度会った時は忠告しておくよ。『カナンはあなた様がカナンを思うほど、あなた様のことをもう思ってはおりません』とな」
片手を上げ、後輩の横を通り過ぎた。
すると、不穏な感情を押し殺した、低い声が背中にかかった。
「………手を出すおつもりじゃないでしょうね」
その、普段のカナンからは想像できないような声音に思わずアラエは振り向く。
暗い緑の瞳が、憎悪に近いような負の感情を持って自分に向けられていた。
驚きのあまり一瞬絶句したあと、すぐにこの後輩の桜への感情にピンとくる。
「出すわけないだろう。我らが王の、御寵姫だぞ」
後半の言葉を、わざと強調した。
「………」
その頬が強張るのを、アラエはフッと笑って見た。
「ま、せいぜい私に出来るのは、あの娘の香りを楽しむくらいかな」
「!」
わずかに身じろぎする。
「ああ……それから、戸口で並んで茶を飲むってのは、なかなかいいもんだな」
青い顔でまた自分を睨みつけるカナンに笑ってみせて、アラエは歩き出した。
「……ま、そうだな。今となってはお前には関係のない話だな」
素っ気なく言った。
「あの娘に今度会った時は忠告しておくよ。『カナンはあなた様がカナンを思うほど、あなた様のことをもう思ってはおりません』とな」
片手を上げ、後輩の横を通り過ぎた。
すると、不穏な感情を押し殺した、低い声が背中にかかった。
「………手を出すおつもりじゃないでしょうね」
その、普段のカナンからは想像できないような声音に思わずアラエは振り向く。
暗い緑の瞳が、憎悪に近いような負の感情を持って自分に向けられていた。
驚きのあまり一瞬絶句したあと、すぐにこの後輩の桜への感情にピンとくる。
「出すわけないだろう。我らが王の、御寵姫だぞ」
後半の言葉を、わざと強調した。
「………」
その頬が強張るのを、アラエはフッと笑って見た。
「ま、せいぜい私に出来るのは、あの娘の香りを楽しむくらいかな」
「!」
わずかに身じろぎする。
「ああ……それから、戸口で並んで茶を飲むってのは、なかなかいいもんだな」
青い顔でまた自分を睨みつけるカナンに笑ってみせて、アラエは歩き出した。
