その後悔が、彼女を思い出にする事を許してくれない。
「ああ、そうなんだが……お召がないならお部屋にいらっしゃるはずなんだが、女官もここ最近一度も会ってないようだ」
顔をこわばらせて、カナンはボソリと言う。
「我が君の寵愛深いご客人のことです、ずっと深宮にいらっしゃるのでは?」
「だが……一度も外にも出ず、部屋にも戻らないなんて事をすると思うか?あの、自由な心を持つ娘が。我が君の制止を振り切って神児の元へ行くような娘だぞ」
その静かな声と、桜を的確につかんでいる言葉に、思わずカナンは顔を上げた。
先輩近侍の眼差しは少し伏せられて、どこか遠くを見ているような。
そしてそれは優しく緩まって、いつもの怜悧なものではない。
(……………!)
血が逆流する。
「御寵姫となられたのなら、後はどうなろうと桜様と我が君との間のこと。我々が立ち入って良いものではないのでは」
乱暴な口調になった。
その声に、アラエはピクリと眉を寄せてカナンを見る。
「それもそうだが……。………お前も随分だな。あの娘はお前のことをよく気にかけて、私にもお前の様子をたずねていたぞ」
そんな事、知りたくない。
いたずらに辛くなるだけだ。
早く忘れてくれればいいのにという思いと、心の隅から消しされない嬉しさに、カナンは唇を噛んだ。
「ああ、そうなんだが……お召がないならお部屋にいらっしゃるはずなんだが、女官もここ最近一度も会ってないようだ」
顔をこわばらせて、カナンはボソリと言う。
「我が君の寵愛深いご客人のことです、ずっと深宮にいらっしゃるのでは?」
「だが……一度も外にも出ず、部屋にも戻らないなんて事をすると思うか?あの、自由な心を持つ娘が。我が君の制止を振り切って神児の元へ行くような娘だぞ」
その静かな声と、桜を的確につかんでいる言葉に、思わずカナンは顔を上げた。
先輩近侍の眼差しは少し伏せられて、どこか遠くを見ているような。
そしてそれは優しく緩まって、いつもの怜悧なものではない。
(……………!)
血が逆流する。
「御寵姫となられたのなら、後はどうなろうと桜様と我が君との間のこと。我々が立ち入って良いものではないのでは」
乱暴な口調になった。
その声に、アラエはピクリと眉を寄せてカナンを見る。
「それもそうだが……。………お前も随分だな。あの娘はお前のことをよく気にかけて、私にもお前の様子をたずねていたぞ」
そんな事、知りたくない。
いたずらに辛くなるだけだ。
早く忘れてくれればいいのにという思いと、心の隅から消しされない嬉しさに、カナンは唇を噛んだ。
