デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

少し、王はその様子を無表情に見ていたが。


「……ならば、死ぬか?今」


まるでゲームに誘うように軽く言う。

「えっ……」

ギクリとして顔を上げる桜。

深い海溝のような瞳が、そこにあった。

パッ、と手を開くと、持っていた箸が細い音を立てて床に落ちた。

「食べることは生きること」

静かな表情のまま、腕をひと振りする。

桜の前に置かれた膳が飛んで、食器の割れる耳障りな音とともに寝台の横へと落ちた。

「あ………」

「お前が言っていた事だ。ここで食事をするのが苦痛なら、私の手からものを食べるのが嫌なら、すぐにお前を私の人形にしてやるぞ」

恐ろしさに、また体が震え始める。夢中で首を振った。

(どうして、こうなっちゃったの……)

また、涙があふれる。

あの優しい王様が。

(私のせいだ)

桜は思った。

王様がどんなに不安か分かっていたはずなのに、いきなり彼のすべてを拒絶するようなことをしてしまった。