デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

互いに素肌のまま、しばらくそうやって獣がするようにその傷を癒やした。

「……お前はもう、私のことなど愛しはしないであろうな」

ぽつりと、その黒いまつげを見つめながら呟いた。

恐れと憎しみに変わっていくだろう。

当たり前だ。こんな仕打ちをしているのだから。

“王様、大好き”

初めて肌を合わせた後に、頬を染めながらも抱きついてきた桜の笑顔を思い出し、唇を噛んで目を少し伏せた。

「お前を失うくらいなら……もう、愛情でなくてもいい」

暗い表情で、そっとその頬に触れる。

あの時。

桜の白い首を絞め上げていた時、自分でも気付かなかった涙を、桜の手が拭ってくれた。

その温もりをなくしたくなくて、どうしても最後の力が込められなかったが。

「恐怖や憎しみであっても、それで私がお前の心を占められるのであれば……。私はお前を殺すことも、もう厭うまい」

異常だと、自分でも思う。

でも、もう止められない。

桜が夢からさめたら、また自分は狂気のままに彼女を愛するのだろう。

「……お前が悪いのだ」

泣きそうな表情で、寝顔に言う。

「私から逃げようとしたから。お前の自由を奪ったのは、お前自身だ」