デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「やっ……!」

その、何の抑揚もない言葉に慄然として、思わず手を払って逃れようとする。

するとすかさず腕を取られ、容赦のない強さで寝台の上に引き倒された。

「うっ」

うめいて思わず目をつぶると、王の身体の重さを感じた。
次の瞬間。

ガッ、と首筋に噛みつかれた。

「痛いっ!!」

これまで彼にされた、優しい甘噛みではない。ギリギリと、歯が食い込む感触に、桜の体が強張った。

「い、痛い!痛いです!!やめて……やめて王様、痛い!」

涙があふれて、夢中で身をよじった。

もう一度きつく歯を立てたあと、王はようやく口を離す。
今やガタガタと大きく震えながら自分を見る桜に微笑みかけ、唇の端に付いた血を舌で拭う。

「逃げようとするからだろう?……悪い子だ」

「う……」

息がうまく出来ないほどの恐怖に、涙が止まらない。

「王様……これ、取って……怖い……」

また鎖が音を立てた。

すると王はクックックッと小さく笑った。

「お前の生命線だと言ったろう?それを外すときは、私がお前を殺すときだ」

「そ………んな……」