デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ゆっくりと目が慣れて、その表情も分かるようになってきた。

口元にだけ、薄い微笑みを貼り付けた顔。

その目は虚ろで、瞳は深い谷を見るようだ。

「………」

感情の見えない、いや、『無い』顔に、桜はすくんだ。

黒髪をなでながら、寝台に添うように横たわり何度も口づける。

「王様……あの……」

少し身を起こそうとした時。

ガシャ、という音とともに、喉の不快感が。

「!?」

ぎょっとして自身を見下ろすと、首から鎖が出ている。

いや正確には、柔らかな、しかししっかりとした作りの革の首輪だ。

「な………」

目をむいてそれに触れると、両手からそれぞれまた鎖の音がした。

「ええっ!?」

両手首に、首と同じ素材の枷がつけられ、鎖が長く伸びていた。