デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「………ん、う」

苦しげな自分の声で、薄く目が覚めた。

ユラユラと暗いオレンジ色の灯りが揺れている。

(夜……真夜中…?)

ぼんやりと、思考が鈍い。

(あれ、私……死んだんじゃ……?)

わずかに混乱するが、少しひんやりとする空気は本物だ。

と、また息苦しくなる。

(う……な、何これ……)

しばしば目の前を昏い影が覆い、そのときに決まって苦しくなるのだ。

「桜………」

影から、あくまで静かな声がした。

「!!」

一気に頭がうつつに戻る。

すぐに、その影が灯りを背にした王だと察した。

「あ……!っ、んっ……」

唇を塞がれる。……夢の中で、息苦しかったのはこれなのか。

何度、口づけていたのだろう。
こんな夜中まで、目を覚まさなかった自分に。

「王様………?」

「ああ、目が覚めたのか」

静かなままの声が応えた。『魔』に深手を負わされた時とは全く違う、不気味な静けさ。