デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

ゆっくりと、視界が白み始めた。

(怖い……苦しい………!!)

涙がとめどなくあふれて恐怖を教えるが、その力は緩まなかった。

(王、さ……ま…………)

声はもはや出ず、血の気が引いていく唇だけが動く。

変わらず笑いながら、王はささやいた。

「生きていようと死んでいようと、お前は私の最愛だ、桜………」

(いや……いや!!)

「心配するな」

また、喉の奥で笑いながら言う。

「お前のこの可愛い、たまらなく愛おしい体を、朽ちさせはせぬ。いつまでもみずみずしいまま……ずっとずっと、私が愛で続けてやろう」

狂気の言葉に、桜の瞳に映る恐怖の色が濃くなった。

「いつまでも一緒だ………桜」

もう、口を動かす力もない。

そのまぶたが、意思とは関係なく次第に閉じられていく。

「共に、永遠を過ごしていこう………私の花……」

その時、ポツ、と頬に落ちる水滴を感じ、無意識のうちに震える白い手を、滲む紫のもとへ。

(泣かないで…………)


ごめんなさい。悲しませたくなんか、なかったのに。