デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「ごめんなさい、王様……ごめんなさい、許して……」

『ごめんなさい』に込められたいくつもの意味が、その最後の理性を奪い去った。

一度動きを止め、桜を抱く腕を解く。

「王さ……」

桜がかけようとした言葉が終わらないうちに、その二の腕をつかんで寝台へ引っ張っていく。

いつもの涼やかに流れる藍色の髪は乱れて、桜から彼の表情は見えなかった。

乱暴にその上に引き倒され、桜は小さく悲鳴を上げた。

と、体が重さを感じた。

あわてて上を見ると、王が自分の上に馬乗りになっている。

ゆっくりとその紫の瞳が、桜の目線をとらえた。

その、昏く虚ろな、何の光もない目に、彼女は震え上がった。

「……お前を、逃がすと思うか?」

「えっ……」

「私の、身も心も全て捧げたお前を……今更、逃がすと思うのか」


頭をゆらっと揺らしてクックッ、と喉の奥で笑い、そっとその両手で震える桜の頬に触れる。

「共に永遠を過ごしていく方法なら……あるさ」

優しくその指先が、首筋を愛撫した。