デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

何秒か、何十秒かの沈黙。

「……桜?……どうしたのだ。いきなり……?」

呆気にとられて、間の抜けたような声が出た。

「王様、ごめんなさい……!私…身の程知らずで……やっぱり、あなたに忘れられるのは、どうしても、耐えられないんです……!」

背中を丸めて、泣き続ける。

「わかっていた事なのに……ごめんなさい……あなたが好きだから、見ないふりをしてました……」

「なん……何の、ことだ?お前……何を言っている?」


訳がわからずに、かすれた声が震えた。

「王様と私は、一緒に生きては行けないんです」

「!!」

「生きる時間が違うんです…!あなたはきれいなまま永遠に生きるけど、私はすぐに年を取って、おばあちゃんになってしまう」

頭から、血が潮のように引く音がした。

「そんな……事……」

「その時にはあなたはもう私の事なんか、好きじゃないかもしれない」

ますます驚いて、その艷やかな藍色の髪を乱して首を振る。

「馬鹿を、馬鹿な事を!!お前なら、どんなに歳を重ねても、きっと変わらず可愛い。その顔に刻まれる年月を愛おしみこそすれ、嫌ったりなどするものか!」

強く言い、両手でその泣き顔を自分に向けさせた。

「年を取らないあなたにはわからないんです!」

その愛情が悲しくて、桜は叫んだ。