デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

「これ……」

曇りのない、銀色に輝く指輪だった。

星の形をした、オニキスのような漆黒の石が付いていて、その周りにはサファイアだろうか、輝く小粒の深い青の宝石が、散らばるように置かれていた。

「お前が神宮に行っている間にな。王宮に出入りの宝石商に、指輪を幾つか見せろと言っておいた」

照れくさいのか、クル、と指先で一度その指輪を回して、少し早口になる。

「お前が一度『あめじすと』の話をしていたから……紫の石のほうが良いかと思ったのだがな」

目を見開いたまま動けない桜に、赤い顔で小さく笑って目線をそらした。

「『あめじすと』は護りの石だと言っていたろう?なら……必要ないかと思ってな。お前にはずっと、私がそばにいるゆえに」

桜は震え始める。

「お前は、誇り高い娘だ。自らを強く持ち、決して何者にも迎合しない。だから、この色の石にした」

宝石商には女性的ではないと渋られたがな、と苦笑いして、桜にその指輪を差し出した。


―――ああ、もう、ダメ。…………耐えられない。


堰を切ったように、桜の両目から涙があふれ出した。