デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

その手に自分のそれを添えて、また首を振る。

「私の前で、無理をしてくれるなよ。……お前とはずっとこの先も、身体だけでなく心も一番近いところにいたいのだ。私の最愛だからな」

額を合わせて、穏やかに優しくそう言われ。
自分とこの人との間の、気が遠くなるような時間の隔たりが、嘘なんじゃないかと思いそうになる。

私もこの人も普通の人間で、一日一日年を取って、最後は同じ場所で、永遠の眠りにつく。

ほんとはそうなんじゃないかと。

胃のあたりがぎゅっとして、その痛みが涙に変わりそうになった。

あわてて唇を噛んで、それをこらえた。

「ああ……そうだ桜」

ふと思い出したように、王が立ち上がる。

そして部屋の隅の戸棚の中から、何かを取り出した。

手のひらほどの、分厚い美しい刺繍が入った布の袋を持って戻ってくる。

「………あまり、こういうものに関しての自分の審美眼には……自信はないがな」

「え?」

緊張しているのか、少し袋の口を解くその指がぎこちない。

「これを、お前に」

袋の中から取り出されたそれを見たとき、桜は少し息を呑んだ。