デブスの不思議な旅 ~恋と変と狂愛?と~

また、ソファに二人並んで夕餉をとる。

ふいに王がクスリと笑った。

「そう言えば、お前がいるのといないのとでは私の食の進みも違う気がする」

「え……そうですか?」

まばたきして聞き返すと、うなずいた。

「ああ。何かな……お前がいないなら、空腹感もあまりない気がしてな」

「………」

「食べることは生きること、とお前は言っていたが……今、お前が私の生きる活力になってきているのかも知れんな」

少し目元を染めて、優しく微笑みかけられる。

胸に湧き上がる、その幸福感が強ければ強いほど、悲しみもまた深くなった。

また黙ってうつむき、椀の中に目を落とす。

そんな様子の彼女を見て、王は少し首をかしげた。

「桜……?どうした?」

「え」

「元気がない」

「いえ、そんな事」

あわてて笑顔を作って首を振るが、彼の心配そうな表情は崩れなかった。

「……さすがに無理をさせたか?すまない」

白い頬に手を伸ばし、そっとなでた。

「ううん、違いますよ」